露天風呂では大宴会?

山陰地方の著名な温泉地に池みたいな大きな露天風呂のある旅館をご存じですか?

添乗員仲間でも有名な旅館で、旅館の庭園の真ん中に大きな露天風呂があります。

最初、旅館のカタログを見たとき、人が入っているのと、湯気が立っているのが見えなかったら、
間違いなく、池と見間違えたでしょう。

 

大きな露天風呂



 

今回、お伴するお客様もこの大きな露天風呂を楽しみにされており、
出来ればお客様の少ない時期を選び、のんびりと露天風呂に浸かりたい。

このご意向があり、旅館の閑散期を狙い予約しました。

 

案の定、団体客はうちだけ、あとは家族旅行と個人客のみという、
まれに見るガラ空きの状態でした。

 

大阪からは、少し距離があるのですが、今回のお客様の人数も十八名と少なく、
男女の比率でも若干男性が多いぐらいの配分でした。

 

人数も少な目でもあり、バス車内も比較的静かで、休憩も時間通り、
きっちりと守ってくれて、予定の時間には旅館に到着しました。

 

この会社はプラスチック製品の加工を行っている会社で、
独自の技術を持って商品を提供しているだけあって、凄く儲かっています。
この旅行費用も全額、会社持ちです。

 

だから、社長自らが幹事を努め、社員全員に楽しんでもらおうという趣旨が反映されています。
旅館も高級旅館で宴会の料理も贅沢にして、芸者まで呼んでいました。

 

当旅行社としても、人数が少ない割には、予算が大きいので、添乗に付けてくれました。

さあ~宴会の前に、皆さまが楽しむにしている大きな露天風呂を堪能してください。
「一度入れば肌美しく、二度入れば病も治る、三度入れば死ぬまで長生きをする」
とうたわれています。

 

まだまだ外は寒い季節ではありますが、外気の寒さと温泉の暖かさが、混ざりあいゆっくり温泉に入れます。

宴会場では、露天風呂からあがってきたお客様が頬を少し赤らめ、集まってきました。
「宴会が終わったら、もう一度温泉に入ろう」と口を揃えておっしゃいます。

 

私は、みんなが寝静まった頃に露天風呂に入ろうと計画していまた。
この露天風呂は今どき珍しく、混浴で、男女別の時間設定をしておりません。

だから、上手く行けば、美人と出会えるかも?と楽しみにしていました。

 

だんだん夜も更けてきて、何度か脱衣所を見に行き、人が入っていると、
一端引き上げ、もう少し、時間を置いてから、また脱衣所を見に行くという繰り返しでした。

 

もうすぐ、日付けが変わる頃、さすがに客足も途絶えただろうと思い、
バスタオルを持って露天風呂に出掛けました。

脱衣所を見ると脱いだ浴衣はありません。
「しめた、誰も入っていない」とタオル一枚を腰に巻いて入って行きました。

 

この時間は、露天風呂のメインの照明は消えていましたが、

街灯や部屋の明かりでうっすらと露天風呂が照らされています。

 

手前から入ると、だんだん目が慣れてきました。
しかし、露天風呂の端から話し声が聞こえます。
「え~っ、誰かいる」
それも女性の談笑する声です。

少し、近くに寄っていくと四~五名の女性が温泉にたらいを浮かべ、
お酒を飲んでいるではありませんか?

 

「あらっ、誰か入ってきたよ」と言って近づいて来ます。
どうも、お姉さんたちのようです。
温泉の暖かまりで少し酔っているのがわかります。

 

四名のグループで、2mの近さまでくると
「あっ、今日の宴会の添乗員さんや」とひとりが声をあげます。
でも。お客さんではありません。

 

「失礼ですが、どなたですか?」と聞くと
「今日、呼ばれた芸子やがな、化粧おとしているから分からんかった?」

 

「ちょうど、ええところに来たね、いっしょに飲もう」

芸子の四名は立方(たちかた)と呼ばれ、主に、お酌をしたり、舞を踊ったりする役柄の人たちです。
そして、もう一方は地方(じかた)と呼ばれる三味線や太鼓を演奏する芸子もいますが、ここには地方はいません。

「実はな、宴会が終わって、お客様の社長さんに呼ばれてスナックで飲んでいたの、
それで、すべて今日の仕事が終わったから、みんなで露天風呂で休憩よ」

「添乗員さん、若いな、いくつ?」と聞いてくる。

「はい、二十四です」
「彼女いてる?」
いませんと応えると「ひょっとしたら、童貞?」
赤面して、いやいやと応える。

ひとりのあねごの芸子が「あんた絶妙なテクニック教えたり」
というなり、ひとりのお姉さんが、股間に手を伸ばしてくる。

やんわりと股間を触られる。

「ありゃ、しおれとるがな、若いのに元気ないな?」
どれどれ、幾人かの芸子が手を伸ばしてくる。
「おっ、ちょっと首をもたげたで、もうちょっとや」
と言って、撫でまわす。

 

「ダメです。誰かに見られます」と少し逃げると
一番最初の芸子が追いかけて来て、背中に抱き着いてくる。
その時には、芸子のバスタオルは湯にながされ、すっぽんぽんや。
胸の膨らみが背中にあたる。

そのまま、両手を股間に回してむぎゅと掴まれる。
「あひっ、助けて~」と言って、そのまま湯の中にダイブして潜って逃げた。

 

露天風呂の端まで、潜水艦のごとく、潜って逃げて、
慌てて脱衣場へと逃げ帰る。
後ろから「もう少しで天国へ行けたのに勇気ないやっちゃ!」
と罵声が飛んでくる。

 

脱衣場に戻ると、急いで浴衣を着て、露天風呂に声を賭けた。
「お姉さん、ありがとうございました。
もう十分ええ思いしたから満足して大阪へ帰れるわ!ありがとう」
露天風呂では、お姉さんたちの笑い声が充満していたが、天に消えていった。

 

でも、どうして脱いだ着物がなかったのだろう?
脱衣場を見回してみるとドアの付いた小部屋がある。
なるほど、芸子の着物を脱衣所で脱ぐと、お客様に盗まれるから小部屋に鍵を掛けて脱いでいたんやな。

 

でも、危なかった、あのままやったら、四人の芸子におもちゃにされとった。
でも、ちょっぴり「おもちゃ」でも良かったかもと少し後悔。

 

 混浴の露天風呂


露天風呂は大宴会?
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