天童よしみさんといっしょに旅行した思い出
ず～っと、昔の話
大学を卒業してすぐの頃
大学の頃、旅にばっかり
行っていた俺は、旅行社に入社した。
新入社員の最初は、「添乗員やってた！」
腕に腕章巻いて、旗もって団体客を案内してた。
今と違って昔は慰安旅行が大流行だった。
「慰安旅行ちゅうのは、会社の課とか
小さい会社なら会社全体で旅行に行くこと。」
要するに、会社の社長が社員を慰安してた。
社長が社員に「もっと働いてください。」とか
「がんばって働いてくれてありがとう」とか
会社が社員に旅行で恩返しをしていた。
その慰安旅行専門の添乗員をしてた。
あるとき、大阪の八尾の小さな工場の社長から
「今度、天童よしみさんのファンクラブの旅行をする。」
と聞き、1泊2日の日程で三朝温泉の旅を提案した。
バス3台の約70～80名のフォンクラブの集いやった。
その思い出は、約40年以上も前の話や、
俺も卒業して、1年目で23才の頃やった。
後で調べてわかったけど、
天童よしみさんも俺と同い年やった。
ということは、23才やったか？
「見えんかったわ！」
あの頃
天童よしみさんにはヒット曲がまだなく、
俺が知っていたのは、テレビのアニメソングで
「いなかっぺ大将」というアニメが夕方テレビ
でやっていて、そのテーマソングを歌っていた。
その当時は
今ほど、有名ではなく、
大阪八尾のただのねいちゃんやった。
天童よしみさんのおかんが八尾でスナックをやっており、
その隣でカラオケ教室をやっていたとか？
その常連さんやカラオケ教室の生徒さんの
慰安旅行やった。
当日は、サロンバス3台を八尾に集め、
集合掛けたんや。
八尾のおっちゃん、おばちゃんが続々と集まって来て
バスに乗り込んだ。
そこでひと悶着があったんや。
「忘れも、せいへんわ！ サロンバスって
乗るとき靴脱いで乗るんや」
「後ろの席が応接セットになっていて
床に絨毯がひかれていて、のんびり出来るようになってる
すごいバスやったやが。」
天童よしみさんはサロンバスに乗るときに
嫌がったんや、なぜなら、靴脱がんとあかんかったから。
なんと天童よしみさんの靴は
10cm以上の上げ底の靴やった。
芸能界って
「騙し、騙されつ世界やなぁ～」
でも、最後は乗ってくれたわ。
バスの中でもカラオケが出来るんや。
でも、天童よしみさんはバスの中では1曲も
歌わんかった。
その当時、おかんがマネジャみたいに
ガードしてたわ
添乗員はバスの一番前に乗るんや
天童よしみさんも前から2番目やったわ。
少し話したんや。
今でこそ何を話したか覚えてへけど、
おかんがしきりににらみつけよった。
それで宿に着いて
八尾から連れて来た楽団と音響設備を
宴会場に入れて、6時から宴会の開始や！
なんとプロの司会者まで
付いて来たんや！
宴会の始まるまで
天童よしみさんと少し話をしたんや。これは覚えとる。
天童よしみさんは
売れていなかったから、北海道かた沖縄まで
年間に数百回以上ドサ周りしていたそうや！
ヘルスセンターや小さい旅館の小部屋で
寝泊りしていたそうや。
「本当につらかったらしい。」
今でこそ、大歌手やけど、その頃
本当に努力して歌の訓練していたそうや
一歩、抜け出ようとするなら、
本当に努力が必要やなんやなぁ
抜け出た人はみんな、
見えないところでやってるわ！
話を戻すと
6時から宴会が始まりました。
旅館の管内放送を流してもらい
「天童よしみの歌謡ショー」が始まります。
まだ、この頃は、まだNHKの紅白歌合戦にも出ておらず、
知名度は低かったが、他の宿泊客も来て、
宴会場はお客でいっぱいになった。
私は添乗員という特権もあり、
舞台の横で見ていた。
バスで話した時とは打って変わり、
堂々としてさすがプロの歌手やと思った。
横で聞いていて
その迫力、そして歌のうまさ、抜群
宴会場そのものが揺れたように思えた。
もし、バスで隣合わせで
もっと、いろいろなことを話し合ってたら
ひょっとして「恋愛関係に発展したかも？」
でも、後ろのおかんが目を光らせておったから
出来んかった！
記念に色紙にサインもらったが、
どっかにいってしもた
それ以後、俺は旅行社を辞めたので
その一回こっきりやった。
「惜しいことした。
もし、天童よしみさんと結婚してたら、
今頃、逆玉の輿やったのに～」
それから、天童よしみさんは
ヒット曲を連発する。
NHK「紅白歌合戦」にも出場した。
「あっという間にビックになった。
あの時のドサ周りが効いたんや」
「でも、天童よしみさんの歌唱力はすごかった。」